そばの話

蕎麦の話・その1 そばの花文学賞

■信州の街道に蕎麦の花が言葉となってそっと咲く

そばの効用  「小諸なる古城のほとり雲白く遊子かなしむ…」明治の文豪・島崎藤村をはじめ、高濱虚子、若山牧水、臼田亜浪など小諸ゆかりの文学者は枚挙にいとまがありません。
 もともとあった文学的な土壌に平成八年春「蕎麦の花文学賞」の種を蒔きました。

■「そばの花文学賞」とは

 そばの花文学賞は「信州の街道に、そばや地名に関わる句碑を建てよう」との掛け声のもとはじまりました。
 お題を「季節の蕎麦」「そばの花」とし、蕎麦を主題とする俳句、短歌をお寄せいただきました。そして、蕎麦文化の花が咲き続けますよう「そばの花文学賞」の優秀作品を石碑として残してまいりました。全国から寄せられた、たくさんのご応募に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

  • 第1回入賞作の句碑(草笛明日香の玄関)
  • 「つつがなき 父母のたつきや 蕎麦の花」 縣展子
  • 第2回入賞作の句碑(東御市弁天社境内)
  • 「新蕎麦を しめる山水 惜しげなく」 鈴木しどみ
    「焼畑に細ぼそ咲けるそばの花 母の開墾まぶたに新た」 山口才智雄
  • 第3回入賞作の句碑(御牧カ原ほたる前)
  • 「蕎麦の花 信濃は雲の ふんだんに」 山中楠雄
    「そばの花大地にふかく抱かれぬ みまきのはらに夫と立ちつつ」 滝澤淳子
  • 第4回入賞作の句碑(佐久の草笛前)
  • 「新墾の丘の起伏やそばの花」 足立忠司
    「いちめんの秋そばの波うつは 透明な風の渡りゆく道」 古川隆子
  • 第5回入賞作の句碑(小諸駅2番線ホーム)
  • 「そばの花わが青春の小海線」 山本源
    「嫁ぐ日の子の白無垢は忘れえず 天空までのそばの花見ゆ」 山本明子
  • 第6回入賞作の句碑(信濃追分駅のぼりホーム)
  • 「そばの花 空に潮騒 あるごとし」 清水睦子
    「夫亡くす若かりし日の母をおもふ 打ち伏してなほ白きそばの花」 滝澤淳子
  • 第7回入賞作の句碑(草笛上田店前)
  • 「そばの花 風に歓喜の ある如し」 真山尹
    「巡礼者のごと歩みたる彼の道の そばの花ほど白きものなし」 秋山千枝子
  • 第8回入賞作の句碑(上田市東山蕎麦農場)
  • 「火の山の水に潜きて走り蕎麦」 丸山祐司
    「大ダムの底地と決まる山畑に 今年限りのそばを撒きけり」 中山かつ
  • 第9回入賞作の句碑(上田市東山蕎麦農場)
  • 「花蕎麦の葉擦れを子守唄として」 田中重実
    「綿雲の落ちたるごとき蕎麦畑の 芳醇なる揺れ陽は彩りぬ」 伊藤末子
  • 第10回入賞作
  • 「戦なき空の広さよ蕎麦の花」 堤保徳
    「大地をゆたかにおほふ白妙の 秋そばの花残照に映ゆ」 堀内一穂